おネエ言葉の自衛官、植木シリーズの三作目。今回は、警察に出向となった植木と女性警察官のコンビが、県警幹部の誘拐事件に挑む。神家正成さんの「桜と日章」を読む。
この作品は、「深山の桜」「七四」に続く
シリーズものとみていいのだろう。
三作に登場するのが、自衛隊にあって何とも異色な植木礼三郎。
今回も、この作品が初読みで、この植木という人物に魅了され、
「七四」と、さかのぼって読むことになったが、まだ、
「深山の桜」を読むまでにはいたっていない。
自衛官なんだから、四角四面のイメージが強いが、
それを見事に裏切ってくれて、植木は、まず、おネエ言葉を使う。
おネエ言葉を使って、許される自衛官など居るのだろうか。
まず、いないだろうなぁ。
この植木、だからといって、チャラいわけではない。
実にキレる。
ま、チャラければ、自衛官なんかになってないだろうが。
自衛隊の実体など、触れる機会は少ない。
実体が知りたければ、それこそ、ノンフィクションを読んだほうが
いいのかもしれない。
だが、人間というものをみたとき、
知ることのできない、触れることができないものを、
こういう作品で垣間見ることができるような気にもなる。
この三作で、植木が中心に活躍するわけではない。
それぞれに、視点となる人物や中心となる人物はいて、
彼らを補佐、あるいは支える役目を果たす。
いつかは、植木が中心になり、活躍する物語を読みたい。
それよりまずは、「深山の桜」を読まねば。