唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

てんでバラバラの三人が、いつしか賞金稼ぎの最強チームに。でも、クセが強すぎる…。川瀬七緒さんの「賞金稼ぎスリーサム!」を読む。

 

賞金稼ぎスリーサム!

賞金稼ぎスリーサム!

 

 

 

この作家さんのストーリーテリングの確かさは

これまでの作品で十分証明済み。

絶対的な安心感と安定感で、結末まで一気に走り抜ける。

 

この作品を引っ張っていくのは、

まあ、何事もなかったのなら、

決して交わることがなかったであろう三人組。

 

寝たきりの母親を介護するためにキャリアを捨てた

元刑事、薮下。マザコンの毛がある彼は、四十三歳だが

独身を貫いている。

 

警察マニアと呼ばれる金持ちのボンボン、淳太郎。

ただのボンボンではない。警察マニアになったのにも、

訳があり…。

 

そして、多くの狩猟資格を持つ、生まれながらのハンター、上園一花。

「狩人」として優れた素質を持ち、幼いころからハンターとして

育てられたが、それ以外の生き方、人との接し方を知らない。

 

三人が三人とも、これ以上ないほど、

個性、いやクセが強すぎる。

それぞれが主人公の物語を読んでみたいほどだ。

 

だからこそか、チームとして一つにまとまっていく過程が

実に心地よい。

 

中心人物ばかりではない。

脇役にも、魅力的な人物は多い。

もう少し、目で追っていたいと思わせる。

例えば、この作品では、薮下のところに通ってくる

介護士の香織とか…。

 

三人とも、人並外れた優れたものを持ちながら、

何かが欠けている。

その何かを、チームとして行動する中で、

埋めることができるのか。

いや、欠けていることも、それぞれの魅力なのだろう。

 

年齢も、生まれも育ちもまったくバラバラな三人が出会い、

チームとして動くきっかけは、

下町で起きた放火殺人事件。

あるペットショップが焼かれ、その火事で近隣住民、六人が

焼け死んだ。

 

警察は、そのペットショップ店主を犯人として容疑を固めていくが、

淳太郎は、真犯人は他にいると考え、

調査の協力を薮下に依頼する。母親の介護資金を得たい薮下は、

警察マニアの淳太郎に反感を覚えながら、協力を承知する。

 

火災現場を訪れた二人の前に現れたのが、可憐なワンピース姿に

日傘をさした一花だった。

 

三人は、警察の報奨金を目当てに手を組むことに。

 

薮下と淳太郎は、ぶっ飛んだ性格の一花に

振り回されながら、それでも一花の優れた資質を受け入れていく。

 

このチームに、何としてもまた会いたいと思うが、

どうやら、続編がありそうな気配。

シリーズ化してくれるのなら、うれしい。

 

ただ一つ、タイトルに、もうひとひねりあったら…。