小学生、中学生、高校生の女の子たちが、過去の殺人事件に関わっていく…。ほんわかミステリーと思いきや。甘いお菓子の中に隠されているのは、苦い…?大崎梢さんの「さよなら願いごと」を読む。
悪意のあの字もなさそうな装丁。
この作家さんの持つ、ふんわり、柔らかで、温かみのある
これまでの作品の雰囲気にぴったり、と、思いはするのだが、
人生の苦味だって、そして、悪意さえも存在する。
第一話は小学生、二話は中学生、そして三話が高校生、
どれも女の子の視点で、物語は紡がれていくのだけれど、
各話の橋渡しをしていくのは、殺人という、
禍々しいもの。
それも、小さな女の子が殺された事件。
若い彼女たちが、悲しい想いに囚われて欲しくないなぁ、
そう思って読み進めてきたが、
ホッと胸をなでおろすような結末は、
この作家さんならでは。
甘さと苦味が同居した、お洒落なミステリーだった。