大沢在昌さんの「天使の爪 上下」を読む。
相棒の刑事、古芳と組んで、犯罪者を震え上がらせていた
警視庁保安二課の河野明日香。
麻薬組織「クライン」のボス、君国の愛人だった神崎はつみの体に
脳移植され、「神崎アスカ」として「クライン」を叩き潰した。
非常に美しい顔と体だが、男のペットとしての人生を歩んできた
はつみの体に、「心」のアスカはうまく折り合いをつけることができない。
古芳の愛を疑い、自分の存在を疑い、深く苦悩する…。
と、ここまでが前作「天使の牙」。
続編「天使の爪」も上下二巻の分厚い大作。
だが、それを感じさせない迫力で、グイグイ引っ張られていく。
グイグイが強いが、読み終えたくないという抗いもあり…。
グイグイと惜しむ気持ちがケンカする。
新生「アスカ」と、仁王こと古芳の絆はますます太く、
強くなり、決して断ち切られることはない。
お互いが、相手を命をかけて守りぬこうとする。
二人がお互いを求め、思いやるやり取りは切なく、
胸の底が熱くなる。
アスカと古芳は、ロシアからやって来た、
最悪、最凶の殺人鬼を相手にすることになる。
その殺人鬼はアスカを「妹」と呼び、
彼女に異常なまでの執着を見せる。
アスカはもちろん、読めば読むほど、古芳の魅力に
はまってしまう。
無口で感情をめったに表すことはないが、
アスカを一途に愛し続ける。こんな男、
どこにも居ないだろうなぁ。
この二人に、今すぐにでも、会いたい…。