唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

新米女刑事に、引っ掻き回されながら…。梶永正史さんの「銃の啼き声 潔癖刑事・田島慎吾」を読む。

このコンビの、なんとチグハグなこと。

 

アメリカ帰りか知らないが、上意下達の警察組織にあって、

よくこれだけ、物おじせずに口が回ると、あきれてしまったが、

コミュニケーション下手でマイペースな田島を引っ掻き回す相棒というのも、

面白い、という気になってきた。

 

この二人、結構、息のあったぴったりコンビかも…。

 

これまで出会ってきた、作家さんたちが描く女性刑事の中でも、

ダントツにキャラ立ちしている。

 

この相棒、毛利恵美は新米でありながら、ひょっとしたら

優秀なのかもしれない、と期待させる描写が

そこここに出てくるのだが、そのたびに、コケっとなる。

 

副題に「潔癖刑事」とあったので、

ウェットティッシュでしょっちゅう、手をふくイメージが

頭に浮かび、なんかうっとうしいなと、しばらく放置していた。

 

田島は、警察官であるからか、警察官でありながらか、

誠実な人柄で、その誠実さを「潔癖」と表現しているのかもしれない。

 

毛利にかき回されながら、からかわれながら、

田島の捜査への真摯な態度は一貫しており、

相手が誰であろうと、ブレない。

 

そして、ただのコミュ障ではなく、

時には、策士になる。

それが、田島の奥深さを想像させる。

 

 

 

それはただの交通事故死だった。

三軒茶屋の交差点で死亡したのは自衛官。

だが、防犯カメラの映像を調べていた田島は、

被害者が誰かに追いかけられ、道路に飛び出したように見えた。

 

田島は新米の毛利と組んで、この事故死を調べ始める。

被害者はなぜ、死ななければならなかったのか。

一件の事故死が、PKO派遣の闇へと繋がっていく…。

 

余計なことだが、紛争地域に派遣しておいて、

「危険な場所ではない」というのは、子供の弁明のようだと、

いつも思ってしまう…。