光崎教授の、解剖から真実にたどり着く鋭さは、いつもの通り。だが、今回の相手は、ちょっと勝手が違うか、感染症…。中山七里さんの「ヒポクラテスの試練」を読む。
光崎教授、キャシー、真琴、そして埼玉県警の古手川刑事、
お馴染みの面々の活躍。
「ヒポクラテス」シリーズの三冊目。
相変わらず、光崎教授に振り回されっ放しの古手川だが、
今回は、活躍の場が、少なかったか。
扱われている題材が感染症なので、
光崎教授が思いっきりメスをふるう場面も少なく、
少々、物足りない。
その代わり、舞台がアメリカに移り、
キャシーと真琴の活躍が見られる。
さらに、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだが、
渡瀬の登場に、興奮した。
城都大附属病院の南条が浦和医大法医学教室を訪れ、
前都議会議員、権藤の死に疑問があるという。
死因は肝臓がんとされたが、九カ月前に受けた健康診断では、
何の異常も見られなかった。
そして、光崎教授による解剖が行われ、
臓器からある寄生虫が見つかった…。