警察学校に戻った恵平。でも、大事な「仲間」のホームレスが消えたとなったら、いつも通りに捜査に加わって…。内藤了さんの「DOUBT 東京駅おもてうら交番」を読む。
シリーズ五作目。
今作の恵平は、最後の研修となる警察学校に戻っている。
と言っても、平野や桃田との絡みがないわけじゃない。
警察学校から、えっちらおっちらと、東京駅に捜査に出かけてくる。
うら交番の謎も、少しずつだが、形が見え始めたようだ。
作品の中でも、コロナ禍の状況が描かれており、
いつもは、恵平にとってオアシスのような、
ダミさんの焼き鳥屋も休業状態で、登場なしだったのが、寂しい。
その代わりと言っちゃなんだが、
メリーさんの、いつも以上の活躍が嬉しい。
うら交番の謎は、もちろん気になるが、
同時に、「なかったことにしてしまう」ターンボックスという
組織だか、システムだか、こちらも、まだ、
はっきりとした形が浮かび上がっていない。
そして、まだ、警官の卵である恵平自身が、
「自分は何者になるのか」という疑問を抱えている。
答えが簡単に出ない、?がてんこ盛りの感じで、
ありがたいことだが、まだまだ、シリーズは続きそうだ。
人の悪意が発動するとき、柏村がいる、うら交番への扉が開くのか。
残虐な事件の中で、常に変わらない、
恵平のまっすぐな心が、まぶしくもあり、救いにもなる。
ホームレスであっても、一人のひと。
人に寄り添いたい、寄り添おうとする恵平だからこそ、
ペイさんや、メリーさんは、彼女を受け入れる。
清掃工場のゴミ集積プールから、複数の遺体が発見される。
ちょうどその頃、ホームレスの「神隠し」が続く、という噂が…。