「巣」を狩る殺人鬼、「パパ」の正体とは…、雨宮縁は殺人鬼を狩る「ハンター」なのか。内藤了さんの「ネスト・ハンター 憑依作家 雨宮縁」を読む。
「藤堂比奈子」シリーズの終了後、ロスに陥っていたら、
「建物因縁帳」「恵平」「夢探偵」、そして、
この「雨宮縁」シリーズと、さまざまなキャラが登場した。
多くの引き出しを持っている作家さんだ。
一作目、「スマイル・ハンター」で誕生した
憑依作家というキャラクター。
謎めきすぎて、つかみどころがなく、
感情が入り込むまでには至らなかった。
だが、二作目の今回は、
謎めいているところは変わりがないが、
薄ぼんやりしていた実体の、輪郭が少しずつ、
浮かび上がってきたような感じ。
人間に潜む悪意をあおり、罪を犯させる。
「人を操る」組織。
雨宮縁は、大きなものと戦おうとしている、
そんな風な想像をさせる、エピソードがちらほらと。
自身が生み出したキャラのコスプレをして人前に出るのも、
それなりの事情がありそうで…。
さらに、秘書の庵堂との関係性も謎で、
じわじわと、興味を引かれてゆく。
編集者の真壁と同じ出版社に勤務するたシングルマザーが、
幼い子どもを道連れに無理心中してしまう。
だが、雨宮縁は、それは心中などではなく、
殺人だと指摘する。
調べると、過去にも同じような心中事件があり…。