唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「巣」を狩る殺人鬼、「パパ」の正体とは…、雨宮縁は殺人鬼を狩る「ハンター」なのか。内藤了さんの「ネスト・ハンター 憑依作家 雨宮縁」を読む。

 

ネスト・ハンター 憑依作家 雨宮縁 (祥伝社文庫)

ネスト・ハンター 憑依作家 雨宮縁 (祥伝社文庫)

  • 作者:内藤了
  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: Kindle版
 

 

 

「藤堂比奈子」シリーズの終了後、ロスに陥っていたら、

「建物因縁帳」「恵平」「夢探偵」、そして、

この「雨宮縁」シリーズと、さまざまなキャラが登場した。

 

多くの引き出しを持っている作家さんだ。

 

一作目、「スマイル・ハンター」で誕生した

憑依作家というキャラクター。

謎めきすぎて、つかみどころがなく、

感情が入り込むまでには至らなかった。

 

だが、二作目の今回は、

謎めいているところは変わりがないが、

薄ぼんやりしていた実体の、輪郭が少しずつ、

浮かび上がってきたような感じ。

 

人間に潜む悪意をあおり、罪を犯させる。

「人を操る」組織。

雨宮縁は、大きなものと戦おうとしている、

そんな風な想像をさせる、エピソードがちらほらと。

 

自身が生み出したキャラのコスプレをして人前に出るのも、

それなりの事情がありそうで…。

 

さらに、秘書の庵堂との関係性も謎で、

じわじわと、興味を引かれてゆく。

 

編集者の真壁と同じ出版社に勤務するたシングルマザーが、

幼い子どもを道連れに無理心中してしまう。

 

だが、雨宮縁は、それは心中などではなく、

殺人だと指摘する。

調べると、過去にも同じような心中事件があり…。