佐々木譲さんの「犬の掟」を読む。
二組の刑事コンビが、別々の角度から一つの事件を追いかける。
徐々に集束してはいくのだが、
物語開始からしばらくはバラバラ感が気になる。
謎の輪郭がボンヤリし、どこを目指しているのか、
きょろきょろ、ウロウロしてしまった。
二組の刑事コンビが同じ事件の捜査に当たるのだが、
結末近くまで、その二組が相まみえることはない。
そのため、なかなか、真相のシッポさえ見つからない。
だが、ワタシたちは、中盤からひょっとしたら、ひょっとしたら、
という薄ぼんやりした疑いにひっぱられて、結末まで
持っていかれる。
謎の解明や事件の決着にスッキリ感はないのだが、
人の死は、肉体的な死ばかりではないという事実が重い。
暴力団幹部の深沢が車の中で、手錠をかけられたままの
射殺体で発見される。
その捜査で、所轄の門司、波多野の二人の刑事が再会する。
警視庁捜査一課のもう一組のコンビ、松本と綿引は、
二年前に起きた変死事件との類似性から、独自の捜査が命じられる。
実は、門司、波多野、松本は、七年前に発生した
事件の現場を共有していた…。