香納諒一さんの「第四の闇」を読む。
男くさいハードボイルドとは、少々、雰囲気が異なる。
始まりから、主人公に心がそっていかない。
インターネット心中で妻を亡くした男が
酒におぼれたあげく、アル中になる。
それはそれで、うなずけるのだが、
結末まで、アルコールの中から、闇の中から
這い上がることもなく、底の底に沈んでいくような主人公に、
共感しがたい。
というより、その闇は、彼の中から湧き上がってくるのだと、
疑いを持ったときから、彼が抱え持つ傷に予想がつく。
哀しい結末ではある。
彼の中は空っぽで、その空っぽを、
闇が埋めてしまったということなのか。
妻の恭子をインターネット心中で失い、
酒におぼれるようになった新田。
そんな中、ネット心中を追っていた
友人のライター、小杉のバラバラ死体を
発見する。
その現場からは、胴体だけが消えていた。
さらに、ネット心中に関わっていたと
思われる人々も同じように殺害されていたことがわかる。
新田は、やはりネット心中で姉を亡くしたジローら、
若者たちと事件を追っていくのだが…。