ワーゲンバスでさすらう探偵、今度はどの街で事件に遭遇する?香納諒一さんの「さすらいのキャンパー探偵 降らなきゃ晴れ」を読む。
でしゃばる風でもなく、淡々と事件に向き合う。
このシリーズの辰巳翔一が好きである。
「さすらいのキャンパー探偵」シリーズ。
ワーゲンバスであちこち流離い、カメラマンとしての仕事が終わったら、
ビールやバーボンを飲み、酒が入れば、車の中で眠り、
見つけた温泉にのんびりつかる。
仕事が無い日は、音楽を聴いたり、本を読んだり…。
なんて、優雅でお気楽な生活が描かれているんだろう。
これじゃ、ハードボイルドの真逆じゃないかと、思いきや、
立ち寄った街で、結局は、事件に巻き込まれる。
でも、ハードボイルド特有の重苦しさはなく、
事件を決着に導きはするのだが、
あくまでもバイスタンダー的な立ち位置が、
グッと入り込みそうな思いを、おいおいと、引きとめてくれるのかも。
二話目、「バーボンソーダ」では、苦みのある結末が、
何だか、切ない。
だが、これが、探偵モノ、ハードボイルドの真骨頂なのだろう。
やはり、どこかに傷みがあり、癒されるにはきっと、
長い時間がかかるのだろうと、思わせる。
事件に関わるということは、お気楽なことでは決してないのだいうことを、
サラっと教えてくれる、そんな作品だった。