自分は、何者なのか…。香納諒一さんの「記念日 anniversary」を読む。
公安、チャイニーズマフィア、CIA、
三つ巴の戦いの中に放り込まれた、記憶を失くした男が主人公。
記憶を失くした上に、ニセの記憶を植え付けられるという状況で、
誰が味方か、裏切り者かわからない。
誰をも信じられないという極限で、
主人公を助け、コンビを組むアンが、
タフで芯の通った女性ながら、
可愛らしい面も描かれ、男くささがムンムンする作品に
色を添えている。
かなりボリュームがあるが、
スリリングな状態がノンストップで続くので、
結末まで駆け抜けた。
自分が何者なのかを忘れてしまった時、
人は、何にすがるのか。
記憶を失くしたまま、果たして生きていけるのだろうか。