太田忠司さんの「刑事失格」を読む。
阿南シリーズは、どういうわけか、この第一作を飛ばして読み始めた。
で、やっぱり一作目を読まにゃと思い、ようやく手に取った。
後の作品から読んだのが悪いのか、
どうも、若き日の阿南に心が添っていかない。
まず、一人称の「僕」に違和感を覚える。
別人のようである。
警察官でなくなり、阿南も変わっていく。
その出発点として読めばいいのだろう。
「人は間違ってはいけない」という、
正義とはいえない、少々歪みのある信念に縛られ、
人を、そして自らを生きづらくしている。
そして、婚約者が自分の前から去っていったその日に
自殺してしまうという過去を抱えている。
どうしても、息苦しさを感じさせられる。
若き日の阿南は、こんなだったんだ…。
なりたかった刑事になる前に、警察官を辞めるきっかけとなった
事件が描かれる。
派出所の巡査として日々の業務をこなすある日、
興信所の調査員の死体が発見される。
応援要員として捜査にあたる中、
ある女性を知るのだが、その女性に徐々に惹かれていき…。