加納朋子さんの「カーテンコール」を読む。
性同一性障害に悩む綾部桃花、
朝、目覚ましをかけても起きられない梨木朝子、
ナルコレプシーを抱える有村夕美…、
ワケありの彼女たちは、それぞれ、
萌木女学園に通う女子大学生。
だが、その「ワケ」のため、単位が取れず、
卒業ができない、がけっぷちの状況に。
おまけに、萌木女学園は閉校が決まっていた。
だが、そこに救世主が…。
理事長の角田から提案されたのが、
落ちこぼれの彼女たちを集め、合宿制で補習を受け、
卒業を可能にしようというもの。
だが、その合宿は、外出、ネット、面会禁止など、
軟禁ともいえる生活だった。
理事長の狙いは?
合宿という集団生活を送るうち、
彼女たち、ひとりひとりにも変化が現れる…。
何かしらの「ハンデ」を持ち、人と足並みをそろえて
生活できない。
それは、「人生、詰んだ、終わった」と思わなきゃいけないあ
ものなのか。
人から遅れて、うまく歩めなくて…。
そんな彼女たちを温かい目で見守る大人がいる。
心折れる若者のそばに、そうした大人が一人でもいれば、
世界は、少しは息をしやすくなる場所になるのだろう。