柚月裕子さんの「盤上の向日葵」を読む。
後半まで被害者の身元は明かされない。
誰を、誰が殺したのか。
山中から発見された白骨死体。
死体と共に、高価な将棋の駒が埋められていた。
それは、数百万円の価値があると言われる
名工の作品だった。
優秀な頭脳を持ちながら、過酷な環境を
生きなければならなかった男の人生が、
平行して語られる。
そして、被害者、「誰を」が分かったとき、
すべてが明らかになる。
プロ棋士を目指すも、途中で挫折し、
警察官になったという変わり種の刑事、佐野直也と、
傲岸不遜、上の者でもかみついていくが、
腕は一流のベテラン刑事、石破剛志のコンビが、
遺留品の駒の持ち主を求めて、
地道な捜査を続けていく。
ギリギリの崖っぷちで生きる、あるいは
生きてきた男たちの結末は、
ある意味、切ない。
ワタシには、将棋の知識は全く無い。
もちろん、読みごたえのある作品だったが、
少しでも、知識があったなら、
作品の醍醐味をより味わえたのだろうか。