困った死体、というより、困ったちゃんチーム? 浅暮三文さんの「困った死体」を読む。
登場人物たちのキャラの濃さで、押し切られそうな感じだった。
四編を収めた連作モノ。
断食中に食中毒死した教団の教祖、停電中に感電死した
バンドのギタリスト、夏の真っ盛りの屋外で凍死した女性、
そして、砂漠の真ん中で溺死した金融業者。
謎だらけの変死事件だけを扱う、刑事、鑑識課員、そして
女性監察医、「サーカス」と呼ばれる特殊班の三人組だ。
事件もヘンテコなら、三人組もクセがものすごい。
刑事、大黒福助は、捜査に煮詰まると精神がヤバくなりそうだし、
鑑識課員の数之十一は、現場でダジャレを連発、監察医、栗栖アメリは、
タイトなミニスカートと、ピンヒールというド派手な格好で
現場に臨場し、捜査に首を突っ込んでくる。
クセモノぞろいだが、もちろん、三人とも腕は一流。
ストーリー自体はギャグっぽいのだが、
謎は興味深い。
ギャグっぽいといえば、被害者の名前はいつも、
「前田五郎」、死体発見者もいつも、森田という老人。
これも、何かの伏線かと思ったけど…。
ところで、我孫子武丸さんによる解説では、
「前田五郎」は坂田利夫の相方の名前らしいのだが、
それにも意味があるのか、ないのか。
芸人、「前田五郎」さんの名前は、ワタシでも、
かろうじて覚えていたけど。