今回の因縁の建物は、教会。悪魔と対峙する仙龍チームは、因縁を浄めることができるのか…。内藤了さんの「堕天使堂(サタンのいえ) よろず建物因縁帳」を読む。
さてさて、久しぶりの「よろず建物因縁帳シリーズ」。
今回は、どんな悪しき因縁を浄化するのかと、
初めから、期待度マックスで、読み始める。
出だしもスリリングで、もう、そのまま一気に…。
で、今回は、洋モノ、悪魔を相手にするとは…。
シリーズ史上、最凶なんじゃないかと。
因縁帳シリーズは、怪異、因縁が柱になるのだが、
考古学、民俗学といった古の知識が披露され、それがまた、興味深い。
そして、舞台が長野であるため、
長野のあれやこれやが楽しめる。
さらに、このシリーズは、仙龍チームの活躍もさることながら、
春菜の成長を見守る物語でもある。
「自分の知識、価値観を押し付ける。現場で汗水流す人々を顧みない。
数字に固執する売上至上主義」、そんな嫌味で、
鼻持ちならなかった春菜が、仙龍たちと共に、さまざまなな
因縁に出会うごとに、「いい女」になっていく。
そしてもう一つ、隠温羅流導師、サニワとしての
春菜の力が高まっていくところも見どころだ。
「おごらず、高ぶらず、悲観せず、清浄で透明な心でいることが、
サニワの使命なのではなかろうか」と、彼女は自覚していく。
さらに、これが、一番気になるのだが、
仙龍と春菜の仲が、より近づいたような結末の場面、
とっても、うれしい。
今回の因縁の建物は、教会。
五十年ほど前、牧師の妻と娘が首を斬られ、
惨殺されるという凄惨な舞台となった場所だ。
牧師はそれ以来行方が分からず、
その後、教会で恐ろしい怪異が相次ぎ、
誰も訪れることなく、放置されていた。
そこを、バグ男こと、長坂が、新しい事務所にと、
購入、改修プロジェクトを、アーキテクツが請け負うことになったのだが…。