唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

誉田哲也さんの「ドルチェ」を読む。

生きる者のために真相を追う刑事、魚住久江。事件が起きる前、事件を起こす前に人を救うことができたら。生者に寄り添うことにこだわり続ける女刑事がいる。

 

魚住久江シリーズの1作目で、表題作を含む6編が収録されている。

 

今は練馬署強行犯係に属する魚住は、

池袋署時代に本庁捜一に抜擢され二年つとめた。


その後の昇進で所轄に異動、以降、所轄を渡り歩き十年過ぎた。

 

その間、幾度も本庁復帰の打診を受けながら断ってきたのは、
「人が殺されて始まる捜査より、誰かが死ぬ前の事件に関わりたいから」。

 

刑事としての矜持と頑固なまでのこだわりで、
丁寧に事件に対峙していく。

 

この作家さんの作品である「姫川玲子」シリーズみたいに、
次々にページをめくらされるような派手さはないけれど、
丹念に、じっくり筋をかみしめて読み続けたい。

 

人の思いがあふれかえって、時たま、切なくなる。

 

中でも気持ちを持っていかれたのが「バスストップ」。
女子大生が団地の敷地内で何者かに抱きつかれるという
強制わいせつ事案が発生。

 

現場付近でバス停をじーっと見つめていたという
男性が疑われ、事情聴取される。
だが彼は、その理由を語ろうとはしなかった。

 

さらに、本庁捜一から傍若無人で傲慢な刑事がやってきて、
捜査をかき回すのだが、
事件解決後、魚住の仲間の刑事から、
「他人のシマにきて、偉そうにほざいてんじゃねえよ」と、
鉄拳制裁を受ける場面に、心の中でガッツポーズをしてしまった。

 

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