宮部みゆきさんの「あやかし草紙 三島屋変調百物語」を読む。
「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」のこの物語も
はや、五作目。
第一話の「開けずの間」から
第五話の「金目の猫」まで、
いずれも心に深く染み入って、
奥深いところにストンと収まる、
傑作ぞろいだ。
人の恨みや嫉み、妬みがあやかしとなって、
一家を次々に迷宮の闇に誘い込む
第一話ももちろん、恐ろしく、しかし哀しい物語で、
息を詰めるようにして読み通した。
だが、
亡者やあやかしを起こし、招き寄せてしまうという
「もんも声」を持っていた老女が語る第二話、「だんまり姫」は、
登場人物同士のやり取りが面白く、ほのぼのしたり、
しみじみするところもあり、
なんだか、泣きたくなるような物語の切なさが愛おしい。
三話、四話と読み進めるうちに、
三島屋の次男でおちかの従兄の富次郎が聞き手に加わり、
そして、なんと、おちかが嫁いでしまうという展開になって、
あらあら、ひょっとしたら、三島屋百物語は幕を閉じてしまうのだろうかと、
心配になった。
よくよく調べてみたら、この作品は、
シリーズ第一期の完結編だということで、
きっと、第二期が始まるのだろうと、
ホッと胸をなでおろした次第。