柚月裕子さんの「慈雨」を読む。
罪。
人を救えなかった罪。人を貶めてしまった罪。
過ちを正せなかった罪。
罪を償うためには、何をしたらいいのか。
罰せられないまま、時を重ねてしまったときは…。
過ちを正すのに、遅すぎるということはないのだろうか。
さまざまなことを考えさせられる物語だ。
主人公は、警察をもう退職してしまった元刑事で、
やり直そうにも、自らの手ではやり直せない。
だが、罪の意識を抱えたままではなく、
罪と向き合い、認めることが、その先の人生を少しでも、
行きやすくすることなのだろう。
警察を定年退職した神場は、贖罪と、そしてこれまでの警察官人生で
扱った事件の被害者を弔うつもりで、妻と遍路の旅に出る。
その途中で、幼女殺害事件の発生を知るのだが、
それは神場の心の闇を刺激するものだった。
16年前、彼は今回の幼女殺害と酷似した事件を
担当していた。
だが、その事件は…。