「百舌」不在の「百舌シリーズ」、とうとう完結…。逢坂剛さんの「百舌落とし」を読む。
あの「百舌」シリーズの完結作ということで、
ああ、とうとう終わるのかという思いで手に取った。
「鵟の巣」、「墓標なき街」と、引っ張られてきた事件も
いよいよ結末を迎える。
「百舌」シリーズ、というが、
ワタシたち読者は、もう、「百舌」がいないことを知っている。
第一作目、「百舌の叫ぶ夜」で初めて出会った
百舌という殺し屋。
その孤独感がひしひしと伝わり、殺し屋とはいえど、
心が吸い寄せられた。
「百舌」が不在のシリーズでも、勿論、巧みなストーリー展開で、
たっぷり楽しめるのだが、シリーズのファンというより、
「百舌」ファンのワタシとしては、ず~っと、
喪失感を抱いている。
そして、結末。
こういう結末もアリという気持ちと、
別の終わり方もあったのではと惜しむ気持ちがせめぎあい、
何とも、複雑ではある。