今回の水原姐さんの相手は、人を喰らう頂点捕食者!?…大沢在昌さんの「魔女の封印」を読む。
「姐さん」と、思わず声をかけたくなってしまうような、
そんな強い女性の物語が続く。
深町秋生さんの八神瑛子もそうだが、
さんざん踏みつけられ、地獄を見、
それでも、歯を食いしばって、浮かび上がってきたオンナたちだ。
ダーティーであろうが、ある意味、リスペクトしてしまうのは
しごく自然のことだろう。
そして、一クセもふたクセもある登場人物たち。
星川とか、湯浅とか、西岡タカシとか…。
味付けの濃い、クセの強さに振り回されることもあるが、
それがあるから、余計に面白くなっている。
っていうか、そのクセに、いつしか馴染み、
共感している。
クセが、クセになるとでも言おうか。
「魔女」シリーズの三作目。
今回は、少々、毛色が違うというか、
ファンタジーホラーか、SF?
ヤクザ、中国安全局、国家安全保障局という顔ぶれは、
だいたいいつも通りなのだが、
そこに絡んでくるのが、一億人に一人の割合で生まれるという、
頂点捕食者、食物連鎖の最上位にいる者。
つまり、人間を喰らう、人間より上位にいる者たち。
う~ん、こうなると、ダークファンタジーに近いか。
闇社会や犯罪組織に生きる、オトコ、オンナたちの、
生々しい欲望、熱い思いや命のやり取り、
そういった作品群とは、また、一味違う。
ちょっと面食らったとも言えるが…。
水原は、「ある人物を鑑定してほしい」という依頼を受けて、
堂上という男に会う。
だが、水原の能力は通用せず、彼からは何も読み取れなかった。
堂上を探る過程で、脳や臓器に問題はないのに、
倒れ、「腑抜け」のようになった男たちの話を聞く。
そのうちの一人は、堂上と接触した後で、そんな状態になったのだと。
堂上という男の正体は…。
水原は、今まで経験したこともないような世界に
巻き込まれていく。