錦糸町、亀戸…、あぁ、バスに乗りたくなってきた…。西村健さんの「バスを待つ男」を読む。
近頃は、TVのバラエティ番組や、
朝のワイドショーの一コーナーで、
よく見かける。
路線バスの旅。
無趣味だった退職した刑事が見つけた楽しみも、
シルバーパスを利用したバスの旅だった。
気ままに降りたところで遭遇するちょっとした謎。
平日の昼間に、ショッピングセンターをぶらつく
男子高校生、神社に鎮座する狐の前掛け、和菓子屋に何度も通う外国人…。
スリルやヒリヒリ感はないけど、
そして、鉄道の旅のように、全く離れた場所に
連れて行ってくれるわけじゃないけど、
それでも、日常から非日常の世界に足を踏み入れ、
空気がガラリと変わる、そんなワクワク感は十分味わえる。
しみじみとした味わいもある。
一つ、二つと謎を解き明かし、
バスの旅仲間から頼りにされる元刑事だが、
実は、その謎を解いている、本当の名探偵は、彼の妻。
元刑事が推理力を発揮する、そういう、
定番じゃない設定も、面白い。
ただ、妻の言葉遣いが、あまりにも丁寧なのは、ちょっと…、
深窓の令嬢が、警察官の奥さんになったのかと、
変に深読みしてしまいそうになる。