唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

錦糸町、亀戸…、あぁ、バスに乗りたくなってきた…。西村健さんの「バスを待つ男」を読む。

 

バスを待つ男 (実業之日本社文庫)

バスを待つ男 (実業之日本社文庫)

  • 作者:西村 健
  • 発売日: 2020/04/07
  • メディア: 文庫
 

 

 

近頃は、TVのバラエティ番組や、

朝のワイドショーの一コーナーで、

よく見かける。

 

路線バスの旅。

 

無趣味だった退職した刑事が見つけた楽しみも、

シルバーパスを利用したバスの旅だった。

 

気ままに降りたところで遭遇するちょっとした謎。

 

平日の昼間に、ショッピングセンターをぶらつく

男子高校生、神社に鎮座する狐の前掛け、和菓子屋に何度も通う外国人…。

 

スリルやヒリヒリ感はないけど、

そして、鉄道の旅のように、全く離れた場所に

連れて行ってくれるわけじゃないけど、

それでも、日常から非日常の世界に足を踏み入れ、

空気がガラリと変わる、そんなワクワク感は十分味わえる。

 

しみじみとした味わいもある。

 

一つ、二つと謎を解き明かし、

バスの旅仲間から頼りにされる元刑事だが、

実は、その謎を解いている、本当の名探偵は、彼の妻。

 

元刑事が推理力を発揮する、そういう、

定番じゃない設定も、面白い。

 

ただ、妻の言葉遣いが、あまりにも丁寧なのは、ちょっと…、

深窓の令嬢が、警察官の奥さんになったのかと、

変に深読みしてしまいそうになる。