「博士崩れ」の女刑事、沢村依里子が、警察官という職に迷いながら、事件に真っ向から取り組む。伏尾美紀さんの「北緯43度のコールドケース」を読む。
誘拐された女児が数年たってから、
遺体となって発見されるという事件。
誘拐犯は死亡、死体遺棄も、犯人が分からないまま、
暗礁に乗り上げる。
一人の、少々変わった経歴を持つ女刑事、沢村依里子が主人公で、
誘拐、死体遺棄、そして、捜査資料漏洩、少女売春事件と、
さまざまな事件に関わる中で、
警察官という仕事に悩み、傷つき、そして、
成長していく物語だ。
女児の誘拐、死体遺棄まで、一気に読ませはしたが、
資料漏洩事件へと移り、前のめりになっていた体を、
後ろから引き戻されたような感覚で、アレッと。
もちろん、資料漏洩が、過去の誘拐、死体遺棄事件へと繋がる、
とは予測がつくが…。
漏洩事件も、沢村に責任を押し付け、片付けてしまおうという
上層部の狙いも、少々中途半端かなと。
帯に「組織の闇」と書かれてはいたが、
終わってみれば、大した闇ではなかった。
だが、沢村が、過去に傷を抱えながら、
警察官、刑事という職、家族や部下との関係に、
真剣に悩みながら、事件に取り組む姿には、清々しいものがあった。
何だろう、この主人公に、また会いたい気がするのは…。