貴志祐介さんの「ミステリークロック」を読む。
防犯探偵、榎本径シリーズの最新刊。
最後の「鍵のかかった部屋」から六年が経過しているそうだ。
今はそれほど多くない、密室モノ。
4つの事件に榎本と青砥純子が挑む。
密室モノの醍醐味は、やはり、密室トリックなので、
名探偵役の榎本の人間性が今一つ、ぼーっとしているのは
仕方ない。
それに比べ、助手役(?)の青砥のキャラ描写は
かなりはっきりしている。
こんなにオトボケだったっけ?
六年前の作品を読み直すヒマがなかったので、
最初からこうだったか、徐々にキャラが濃くなったのかは…。
謎を目の前に、「わかった」を連発して、
そのたびに榎本に呆れられる。
得意げにトンデモな推理を披露し、
「トンちゃん」とまで揶揄される。
ちょっと、やかましいなと思うが、
彼女のトンデモ推理は、二人の関係性において、
必要不可欠な部分なのだろう。
表題になっている「ミステリークロック」は、
少々複雑だが、なかなか読み応えがあった。