唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2021-01-01から1年間の記事一覧

何のために検事になったのか。浅草を吹く風に乗って、生身の検事の声が聞こえてくる。直島翔さんの「転がる検事に苔むさず」を読む。

転がる検事に苔むさず 作者:直島翔 小学館 Amazon 調子は軽いんだが、キッチリと芯が通っている作品で、 非常に安定感があった。 東京の中心でキビキビと仕事をする、 冷静かつシャープな検事の物語、 ではなく。 いやに人間味あふれた、隣にでもいそうな検…

今度は、新米刑事時代に逆戻り。凪子の熱く、初々しい活躍、これもまたいい。松嶋智左さんの「貌のない貌 梓凪子の捜査報告書」を読む。

貌のない貌 梓凪子の捜査報告書 作者:松嶋智左 講談社 Amazon 一度、気に入った作家さんの作品を読みつくす。 というわけで、続けざまに。 「虚の聖域」の続編。 当然、探偵、梓凪子のその後の物語なのかと思ったが、 なんと、新人刑事時代のエピソード。 こ…

「やらかし」て警官を辞め、探偵になった凪子。不仲の姉から、息子の転落死の真相を探ってくれと依頼されるのだが…。松嶋智左さんの「虚の聖域 梓凪子の調査報告書」を読む。

虚の聖域 梓凪子の調査報告書 作者:松嶋 智左 講談社 Amazon 「調べつくすのが、私の流儀」と言い切る。 流儀をうんぬんするのは、もはや、ハードボイルドだ。 この作品は、主人公の梓凪子が探偵であるということばかりでなく、 皮肉たっぷりの言い回しや、…

警察官になった森口泉、機動分析斑を希望するも、試験に失敗してしまうのだが…。柚月裕子さんの「月下のサクラ」を読む。

月下のサクラ 作者:柚月裕子 徳間書店 Amazon 「朽ちないサクラ」の続編。 笑って、泣いて、怒って…、という人間味が、 今回の森口泉には、感じられなかった。口調も硬いし…。 「朽ちないサクラ」では、泉自身、生き生きとしていたと、 思ったのだが。 配属…

次の異動先は、小さな町の警察署。女副署長は、十八年ぶりの殺人事件に挑む。松嶋智左さんの「女副署長 緊急配備」を読む。

女副署長 緊急配備 (新潮文庫) 作者:松嶋 智左 新潮社 Amazon ある作品が気に入って、その続編が出ているなら、 やはり、読むのが当然。 そして、その作家さんを読みつくすのも…。 ま、期待値が高くなって、 肩透かしをくらう場合もあるが。 そして、この「…

台風接近、警戒態勢の警察署内で、警官の刺殺体が発見される。犯人は署内の人間か?女副署長、田添が意地をかけた捜査に…。松嶋智左さんの「女副署長」を読む。

女副署長(新潮文庫) 作者:松嶋智左 新潮社 Amazon 面白かった。 前に読んだ、この作家さんの作品、「匣の人」とは がらりと、趣が異なっていたのにはおどろいた。 だが、「匣の人」の浦も、こちらの主人公となる、 女副署長、田添杏美も、芯が一本、スッと…

いつもと変わらぬ風が吹き、いつもと変わらぬ安心感がここにはある。小路幸也さんの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン」を読む。

グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン 作者:小路 幸也 集英社 Amazon 「東京バンドワゴン」シリーズの番外、長編。 今回は、サチさん、我南人、研人と、渡辺クン、甘利クンが イギリスの藍子夫妻のもとで、事件に巻き込まれる物語。 番外…

交番という「匣」の中に描かれる人間模様。地味な物語だが、後から心にしみてくる。松嶋智左さんの「匣の人」を読む。

匣の人 作者:松嶋 智左 光文社 Amazon 交番巡査の生活が、淡々と綴られている。 この作家さんの初読み。 ヒリヒリ感は少ないかもしれないが、 読みやすかった。 主人公は、刑事課から地域課の交番勤務に異動した浦貴以子。 彼女が指導役となる新米警官、澤田…

おネエ言葉の自衛官、植木シリーズの三作目。今回は、警察に出向となった植木と女性警察官のコンビが、県警幹部の誘拐事件に挑む。神家正成さんの「桜と日章」を読む。

桜と日章 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:神家 正成 宝島社 Amazon この作品は、「深山の桜」「七四」に続く シリーズものとみていいのだろう。 三作に登場するのが、自衛隊にあって何とも異色な植木礼三郎。 今回も、この作品が初読みで、この…

首から上の皮膚が剥がされた惨殺死体、その意味は…。捜査に行き詰った氷膳莉花が頼るのは。久住四季さんの「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剝皮の獣」を読む。。

異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剥皮の獣 (メディアワークス文庫) 作者:久住 四季 KADOKAWA Amazon 「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花」の続編。 異常犯罪モノが巷に溢れるが、それぞれがそれなりにヒットしているよう。 だが、手当たり次第に読んでいると、ど…

過去の「ワケ」がてんこ盛り、刑事部資料課の女警官が活躍する…。山邑圭さんの「コールド・ファイル 警視庁刑事部資料課・比留間玲子」を読む。

コールド・ファイル 警視庁刑事部資料課・比留間怜子 (角川文庫) 作者:山邑 圭 KADOKAWA Amazon 「刑事に向かない女」で知った作家さんの作品。 少々訳ありの女警官モノで、興味を持って手に取る。 警視庁の資料課に勤務する比留間玲子。 モデルの経験があり…

富次郎が聞き手を継いだ百物語、結末に不穏な空気が漂って…。宮部みゆきさんの「魂手形 三島屋変調百物語七乃続」を読む。

魂手形 三島屋変調百物語七之続 作者:宮部 みゆき KADOKAWA Amazon 「語り捨て、聞き捨て」の百物語シリーズも七作目。 聞き手が富次郎に移った新シリーズにも慣れてきた。 おちかの頃より、調子は軽いか。 今作は、中編のような三編で、 いつもより、サクサ…

頭脳明晰なのに、天性の人の良さ、猫弁と亜子の未来はどうなる…。大山淳子さんの「猫弁と鉄の女」を読む。

猫弁と鉄の女 作者:大山淳子 講談社 Amazon 「猫弁」新シリーズの二作目。 頭脳明晰、だが、人の良さも天才的なため、 常に損ばかり(いや、損と言うのは、世間の金銭的な考えを 先にしているから、彼にとってはどうでもいいのだろう)。 だからこそ、何とも…

今回のいきもの係は、日本を飛び出して、ラオスへ…!大倉崇裕さんの「ゾウに魅かれた容疑者 警視庁いきもの係」を読む。

ゾウに魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 作者:大倉 崇裕 講談社 Amazon 最強で最凶の薄圭子が見られた。 警視庁いきもの係シリーズの六作目で、長編としては二作目。 これまでのものと比べ、スケールがでっかい。 何しろ、二人で海外へと飛び出しちゃうんだ…

「つながりません」、彼女の一言で、動き出すのは事件、なのか。長岡弘樹さんの「つながりません スクリプター事件File」を読む。

つながりません スクリプター事件File 作者:長岡弘樹 角川春樹事務所 Amazon 短編の名手の作家さん。 読んでいくうちに、主人公への思い入れが強くなる 連作モノが好きなのだが、この作家さんの作品には連作モノが少ない。 シリーズ色が濃くなるとカセになる…

白人女性の白骨遺体とともに、頭蓋骨が指し示す物語とは…。長崎尚志さんの「風はずっと吹いている」を読む。

風はずっと吹いている 作者:長崎尚志 小学館 Amazon なかなか、ヘビーな内容の作品だったが、 そのヘビーさに負けない、ぐいぐいと引っ張っていく力強さがあった。 原爆の恐ろしさ、悲惨さにまつわるストーリーで、 この時期に作品と出会うのは、縁のような…

文芸って、やっぱり、深い…。でも、日常の謎解きも面白い。父娘二人の掛け合いも。北村薫さんの「中野のお父さん」を読む。

中野のお父さん (文春文庫) 作者:薫, 北村 文藝春秋 Amazon 中野のお父さんは謎を解くか 作者:薫, 北村 文藝春秋 Amazon 図書館の本棚に、 「中野のお父さん」と「中野のお父さんは謎を解くか」の二冊が並んでいた。 この作家さんの作品は、本当に久しぶり。…

物語は、いよいよ最終段階へ…、棟梁の身に何か?内藤了さんの「蠱峯神(やねがみ) よろず建物因縁帳」を読む。

蠱峯神 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ) 作者:内藤了 講談社 Amazon 「よろず建物因縁帳」シリーズも九冊目。 穏温羅流の因縁が浮かび上がり、いよいよ佳境に入る。 このシリーズを読み始めた当初は、主人公である春菜に全く共感できず、 リタイアしそうだ…

新シリーズ始動!読み応え十分。宮部みゆきさんの「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」を読む。

黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続 作者:宮部 みゆき 毎日新聞出版 Amazon 三島屋のおちかが聞き手となる百物語シリーズが完結して 寂しいなぁと思っていたら、新シリーズが始まって、 あら、嬉しや。 ただ、聞き手が富次郎に変わってしまって、 違和感…

祝福されない命を宿した女たちが、今日も、竹林にあるおゑんの家を訪れる…。あさのあつこさんの「闇医者おゑん秘録帖 花冷えて」を読む。

闇医者おゑん秘録帖-花冷えて (中公文庫) 作者:あさの あつこ 中央公論新社 Amazon 子堕しを請け負う「闇医者」シリーズの二作目。 主人公のおゑんが、魅力的過ぎる。 数奇な運命を背負ったおゑんが、さまざまな事情を抱えた女たちの 人生に関わっていく。 …

津久井が一夜をともにした相手は…。佐々木譲さんの「憂いなき街」を読む。

憂いなき街 (ハルキ文庫) 作者:佐々木 譲 角川春樹事務所 Amazon 道警シリーズの七作目。 佐伯、津久井、小島、新宮…、お馴染みの面々が、 それぞれ事件と対決し、一つに集結していくプロセスがいつも面白い。 今回は、どちらかというと、津久井の恋が中心で…

暗い生い立ちを持つ犯人と片倉の対決が…。柴田哲孝さんの「野守虫」を読む。

野守虫(のもりむし) 作者:柴田 哲孝 光文社 Amazon 「刑事・片倉」シリーズの四冊目。 このシリーズではお馴染み。 旅情と、そして、警察小説の醍醐味、両方を味わえる。 今回は、飯田線を行く旅で、 旅と事件の終着駅は天竜峡である。 ある事件で拘留中に脱…

どこにでもあるような日常的、でも、引き込まれる、お仕事ミステリー。坂木司さんの「アンの青春」を読む。

アンと青春 和菓子のアン (光文社文庫) 作者:坂木 司 光文社 Amazon 読みやすい、実に、読みやすいシリーズだ。 登場人物も、強烈なクセがあったり、性格ではないが、 じわじわと、しみ込んでいくような味わいがある。 もちろん、主人公の杏子が、女子の等身…

隔離生活もあと、わずか…。

今夜は眠れない (角川文庫) 作者:宮部 みゆき KADOKAWA Amazon あきない世傳金と銀 文庫(ハルキ文庫)1-5巻セット 作者:高田 郁 角川春樹事務所 Amazon もうすぐ、シャバに出られる。 入国者健康確認センターから、連絡あり。 隔離期間の前半は、一日おきくら…

隔離、あと4日…、

警官の紋章 北海道警察 (ハルキ文庫) 作者:佐々木譲 角川春樹事務所 Amazon ガンバレ、ワシ。 警官の紋章 読破 でも、手持ちの本が少なくなってきた…。

隔離は続くよ…。

密売人 (ハルキ文庫 さ 9-6) 作者:佐々木 譲 角川春樹事務所 Amazon 所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫) 作者:よしき, 柴田 新潮社 Amazon いろあわせ―摺師安次郎人情暦 (ハルキ文庫 か 12-1 時代小説文庫) 作者:梶 よう子 角川春樹事務所 Amazon 湯布院の奇妙…

絶賛、隔離生活中!

和菓子のアン (光文社文庫) 作者:坂木 司 光文社 Amazon スープ屋しずくの謎解き朝ごはん (宝島社文庫) 作者:友井羊 宝島社 Amazon 京の縁結び 縁見屋の娘 (宝島社文庫) 作者:三好昌子 宝島社 Amazon 一時帰国により、隔離生活中。 和菓子のアン スープ屋し…

キネシクス対キネシクス。最強の相手を前に、エンマさまが苦戦する…。佐藤青南さんの「行動心理捜査官・楯岡絵麻vsミステリー作家 佐藤青南」を読む。

行動心理捜査官・楯岡絵麻 vs ミステリー作家・佐藤青南 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:佐藤 青南 発売日: 2021/05/11 メディア: 文庫 「エンマさま」シリーズも、九作目。 今回は、心理学を操るミステリー作家、しかも、 「佐藤青南」氏を相…

”積んどく”本がなくなったので、宮部みゆきさんの「震える岩」と「天狗風」を再読。

震える岩―霊験お初捕物控 作者:宮部 みゆき メディア: 単行本 天狗風―霊験お初捕物控 2 作者:宮部 みゆき メディア: 単行本 時間がたつと、何度でも読み返したくなる作品の一つ。 この作家さんの時代小説、特に、少女が主人公となるものは、 少女の魅力がキ…

ジビエ料理のシェフと、不器用なハンターとの友情と、そして、命の物語。近藤史恵さんの「みかんとひよどり」を読む。

みかんとひよどり (角川書店単行本) 作者:近藤 史恵 発売日: 2019/02/27 メディア: Kindle版 いつものように読みやすく、それでも、 さまざまなものを心に残してくれる作品。 ミステリーというよりは、食を通して、 暮らし方や、生き方、人との付き合い方を…