唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2019-01-01から1年間の記事一覧

安泰な生活を望み、警察行政職員を目指した女が刑事に…。山邑圭さんの「刑事に向かない女」を読む。

刑事に向かない女 (角川文庫) 作者: 山邑圭 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/01/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る クセの強すぎるオッサン刑事や、相性の悪い同僚と組まされ、 前半は、常に毒づいている気がする。 挙句に、マスコミへ…

誰もが、怪しく思えてくる…。前川裕さんの「コウサツ 刑事課・桔梗里見の囮捜査」を読む。

コウサツ 刑事課・桔梗里見の囮捜査 作者: 前川裕 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/08/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「説明臭」が、少々鼻につくが。 この作家さんの作品におなじみの、気味の悪い人物は現れず。 どちらかという…

戦後の混乱期、日米の文化戦争の発端は、ある古書店主の死だった…。門井慶喜さんの「定価のない本」を読む。

定価のない本 作者: 門井慶喜 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2019/09/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 戦後の混乱期でありながら、人は情熱的であり、 気概を胸に秘めている。 踏みにじられて終わるだけの魂ではないという、 なん…

鳴海、矢代コンビが、殺人現場に残された文書から謎をひもとく…。麻見和史さんの「警視庁文書捜査官」を読む。

警視庁文書捜査官 (角川文庫) 作者: 麻見和史 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/01/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 文章心理学を専門とする捜査、 面白い設定だ。 ただ、その文章心理学にもう少し、ページを割いてほしかった。…

水面を滑る石は、未来へと跳ね、思いがけない波紋を作っていく…。加納朋子さんの「いつかの岸辺に跳ねていく」を読む。

いつかの岸辺に跳ねていく 作者: 加納朋子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2019/06/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 心がくつろぐ、ホンワカする物語を読みたいなぁと思ったら、 この作家さんの本を手に取ってしまう。 裏切られない、安心…

人里離れた村の「匣」の中で、老女が口にする予言とは…。今村昌弘さんの「魔眼の匣の殺人」を読む。

クローズド・サークルものの代表作のように、 「そして誰もいなく…」なりはしなかった。 いや、いなくなる人数は予言によって 特定される。 前作「屍人荘の殺人」の冒頭のように、 比留子あての、班目機関にまつわる書簡から始まるが、 これが、誰から、何の…

過去の亡霊が立ち上がり…。吉川英梨さんの「警視庁53教場」を読む。

警視庁53教場 (角川文庫) 作者: 吉川英梨 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 警察学校モノ、 そういえば、長岡弘樹さんの作品「教場」を読んだばかりだった。 同じような舞台でも、やはり、取り…

サラッとした味わい、それがクセになる…。内山純さんの「ビリヤード・ハナブサへようこそ」を読む。

ビリヤード・ハナブサへようこそ (創元推理文庫) 作者: 内山純 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/02/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る サラッと読める。 「サラッと」ということは、 手に汗握るシーンや、犯人を追い詰めるドキド…

見当たりの職人刑事 VS 高度システムの結末は…。初瀬礼さんの「ホークアイ 警察庁特命捜査官水野乃亜」を読む。

警察庁特命捜査官 水野乃亜 ホークアイ (双葉文庫) 作者: 初瀬礼 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2019/06/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 職人技とも言える「見当たり捜査官」。 近頃、この捜査官をテーマに描く作品が増えた。 ヒリヒリし…

目の前で母を惨殺された七歳の少女は、復讐を誓った…。大山淳子さんの「赤い靴」を読む。

赤い靴 作者: 大山淳子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2018/08/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る どう表現すればいいのだろうか。 この作家さんが描く世界は、心温かくなるものが多かったので、 今作の思いがけない作風は、ある意味、裏…

新米女刑事に、引っ掻き回されながら…。梶永正史さんの「銃の啼き声 潔癖刑事・田島慎吾」を読む。

このコンビの、なんとチグハグなこと。 アメリカ帰りか知らないが、上意下達の警察組織にあって、 よくこれだけ、物おじせずに口が回ると、あきれてしまったが、 コミュニケーション下手でマイペースな田島を引っ掻き回す相棒というのも、 面白い、という気…

コンビを組む相手は、クセモノらしく…。鳴神響一さんの「脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド」を読む。

脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド (角川文庫) 作者: 鳴神響一 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/07/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズの四作目、だそうだ。 また、やってしまった。この四作…

「サトウミサキ」、その女の正体は…。伊岡瞬さんの「本性」を読む。

本性 作者: 伊岡瞬 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/06/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 復讐をテーマにした物語は多い。 だが、スカッとした結末にたどり着くものは少ない。 結局、復讐というものは、自己満足に行きついて…

「百舌」不在の「百舌シリーズ」、とうとう完結…。逢坂剛さんの「百舌落とし」を読む。

百舌落とし 作者: 逢坂剛 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/08/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る あの「百舌」シリーズの完結作ということで、 ああ、とうとう終わるのかという思いで手に取った。 「鵟の巣」、「墓標なき街」と、引っ張…

忌まわしい記憶を封印したことが、二人を引き離す…。谷瑞恵さんの「異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景」を読む。

異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景 (集英社オレンジ文庫) 作者: 谷瑞恵 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/10/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 古典絵画に描かれた、花や動物といった小道具には、 それぞれ特別な意味が込められてい…

陰陽師と『鬼』がコンビを組んだ!田中啓文さんの「オニマル 異界犯罪捜査斑 鬼と呼ばれた男」を読む。

オニマル 異界犯罪捜査班 鬼と呼ばれた男 (角川ホラー文庫) 作者: 田中啓文 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2013/12/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 物の怪である「鬼」と、そして陰陽師がコンビを組んで、 怪事件の数々を解…

親の死を待つ兄弟三人、巨額の遺産を望み…。下村敦史さんの「絶声」を読む。

絶声 作者: 下村敦史 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/08/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 親族、兄弟、遺産をめぐる争いは、 TVドラマでは鉄板のストーリー。 「昭和の大物相場師」と言われた父親が失踪して七年。 死亡とみなされる…

刑事たちが一人、また一人倒れていく…。誉田哲也さんの「ハング」を読む。

ハング (中公文庫) 作者: 誉田哲也 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/04/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る さすが、ストーリーテラーの作品で、 ぐいぐい引き込まれていく。 だが…。 読んでいるうちに、どんどん、気が滅入って…

「ふぎゃぎゃぎゃ…」、サックスの音が聞こえそうだ…。田中啓文さんの「落下する緑 氷見緋太郎の事件簿」を読む。

落下する緑―永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫) 作者: 田中啓文 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2008/07 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (21件) を見る 謎解きの天才には変人が多いが、 この作品の「名探偵」も、空気を…

オッサン探偵は、誰よりも純情…。樋口有介さんの「うしろから歩いてくる微笑」

うしろから歩いてくる微笑 (創元クライム・クラブ) 作者: 樋口有介 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2019/07/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る まあ、相も変わらず、美女が続々登場してくる。 そして、美女に弱いところもいつもながら。…

自分は、何者なのか…。香納諒一さんの「記念日 anniversary」を読む。

記念日―anniversary (光文社文庫) 作者: 香納諒一 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2011/08/10 メディア: 文庫 クリック: 2回 この商品を含むブログ (1件) を見る 公安、チャイニーズマフィア、CIA、 三つ巴の戦いの中に放り込まれた、記憶を失くした男が主…

「卵」から、「ひよっこ」へ…。内藤了さんの「COVER 東京駅おもてうら交番」を読む。

COVER 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫) 作者: 内藤了 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/08/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 東京駅おもて交番で、地域課研修を終えた恵平(ケッペー)、 現在は鑑識課で研修中。 …

この刑事、これからの選択は…?馳星周さんの「帰らずの海」を読む。

異動で故郷の函館に戻った、刑事、田原稔。 着任早々、殺人事件が起こるのだが、 被害者は元の恋人、水野恵美だった。 田原は恵美と別れ、函館を出てから二十年、 彼女とは会っていなかった。 どうやら、田原は恵美と秘密を共有していたようなのだが、 その…

シリーズものは、順番に…。北國浩二さんの「ブラッドショット 横浜市警第3分署」を読む。

ブラッドショット: 横浜市警第3分署 (徳間文庫) 作者: 北國浩二 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2015/02/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「横浜市警第3分署」シリーズの2作目だということだが、 しまった、こちらを先に読んでしまった。 …

五つの密室、名探偵不在は続き…。岸田るり子さんの「密室の鎮魂歌(レクイエム)」を読む。

密室の鎮魂歌(レクイエム) 作者: 岸田るり子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2004/10/22 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (15件) を見る 不可解で、謎めいた事件が次々に起こる割に、文章は淡々としていて、 非日常の世界を覗き…

相変わらず、女刑事はタフで、強い…。大沢在昌さんの「撃つ薔薇 AD2023 涼子」を読む。

撃つ薔薇 AD2023涼子 新装版 (光文社文庫) 作者: 大沢在昌 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2016/01/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 女刑事、櫟涼子が活躍する近未来ハードボイルド。 (未来っていっても、あと、4年だ…) この作家さんの作…

厄介な男ふたり、いつかは、命のやり取りを…。あさのあつこさんの「鬼を待つ(弥勒シリーズ)」を読む。

鬼を待つ 作者: あさのあつこ 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2019/05/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 抜き身の刀のような男、同心、小暮信次郎と、 かつては武士であり、父のため刺客をつとめ、 何人もの命を屠ってきた男、信濃屋清之介…

セブンと東、彼らの行く末は…。誉田哲也さんの「ノワール 硝子の太陽」を読む。

ノワール 硝子の太陽 (中公文庫) 作者: 誉田哲也 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/12/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る この作家さんの、人気シリーズのキャラが 集結した、という感じで、得した気分になる。 物語は、新宿セブ…

妙に気になる二人の関係…。谷瑞恵さんの「異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵」を読む。

異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 (集英社オレンジ文庫) 作者: 谷瑞恵,詩縞つぐこ 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/01/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 図像学という学問に興味はひかれたが、 世界の歴史やら、美術やら、哲学や…

事件の核は、あまりにも、切なく虚しい…。中山七里さんの「護られなかった者たちへ」を読む。

護られなかった者たちへ 作者: 中山七里 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2018/01/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 「護られなかった者たちへ」。 このタイトルが、全てを物語る。 法からも、社会の枠組みからも、 護られることな…