唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2018-01-01から1年間の記事一覧

榎本憲男さんの「巡査長 真行寺弘道」を読む。

ロック好きな五十三歳のヒラ刑事。 本庁捜査一課に、また一人、変わり者が登場! また一人、変わり者の刑事が登場した。 「巡査長」真行寺弘道。五十三歳。 本庁捜査一課の刑事だ。 警察の階級には「巡査長」はない。 だが、こう呼ばれるのは。 単独捜査を好…

小路幸也さんの「ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン」を読む。

「LOVEだねぇ」。「東京バンドワゴン」シリーズ、待望の最新刊。下町の大家族から愛のおすそわけ。 十周年のときが十一作目。というから、大体一年に一作という恒例行事の ような、来年を楽しみに待つような、気持ち。 そして、今作が第十三弾。 もともと大…

大倉崇裕さんの「福家警部補の考察」を読む。

臨場時のドタバタは相変わらず。 鋭い洞察力、そして人間観察力も相変わらず。 第一作の「福家警部補の挨拶」から読んでいる人には、 もうおなじみだ。 ああ、いつも通りと、こうしたルーチンのような進み方は、 安心感があって、落ち着く。 それだからこそ…

アイダサキさんの「サイメシスの迷宮 逃亡の代償」を読む。

メインキャラである羽吹允は、特異な人物である。 卓越した観察力&推理力を持つ優秀なプロファイラーなのだが、 壮絶な過去を持つせいなのか、協調性ゼロで偏屈、あきれるほど 場の空気を読まない、 とにかく取り扱い困難な人間なのだ。 子どもの頃、何者か…

若竹七海さんの「御子柴くんと遠距離バディ」を読む。

長野、東京、さらに他の地方都市で発生した事件が複雑に絡んで、 最後には…。 警視庁捜査共助課から長野に戻った御子柴くん、 でも、根っこは相変わらず刑事です。 犯人が名乗り出たり、あるいは犯人を突き止めたりで、 刑事として「持って」いそうなのに、…

柴田よしきさんの「観覧車」を読む。

結婚して一年、夫が姿を消した。その帰りを信じて、 探偵だった夫の後を継いだ下澤唯。夫を待つ唯が遭遇する、 さまざまな男女の切ない恋愛模様。 愛しい人が突然、目の前からいなくなっとしたら…。 ただただ、待ち続けるだろうか。それとも、 いい加減のと…

深町秋生さんの「探偵は女手ひとつ」を読む。

サクランボの収穫など、仕事は便利屋めいているが、彼女はシングルマザーの女探偵。「えらい天気だなっす」。会話は山形弁で、ハードボイルドの雰囲気をゆる~くしてくれる。これまでにない新しいヒロインの誕生! 「探偵は女手ひとつ」というタイトルも、な…

柴田よしきさんの「フォー・ユア・プレジャー」を読む。

園の存続のため新宿を走り回るハナちゃん園長。 今回の裏のお仕事はクスリの売人探し。 一方で、恋人の理沙が行方不明となり、相変わらず大忙し。 今夜も眠れない園長先生だ。 一夜をともにした男を探してほしいという依頼。 だが、調べてみると、どうやらそ…

長崎尚志さんの「邪馬台国と黄泉の森」を読む。

個性丸出しのマンガ編集者、醍醐真司が卓越した知識を披露しながら謎の解明に奔走する。特異なマンガの世界と現実世界の橋渡しとなる「名探偵」の才能は興味深い。 博覧強記のマンガ編集者、醍醐真司を主人公とした 四作の連作短編もの。 一話完結ものなのだ…

内藤了さんの「首洗い滝 よろず建物因縁帳」を読む。

愛という名の執着が怨念に変わるとき、春奈、仙龍、コーイチ、雷助和尚、小林教授たちの出番だ。今こそ、悪しき因縁を断ち切れ。 個性豊かなこのチームを、二作目にして大好きになってしまった。 今回は、近づくと死ぬといわれる滝のお話。 雨木村には、地図…

長崎尚志さんの「パイルドライバー」を読む。

猟犬は死ぬまで猟犬だ。二メートル近い巨躯。鋭い眼光。「パイルドライバー」と異名をとる神奈川県警捜査一課OBの久井が、刑事という仕事に迷いを持つ巡査部長とコンビを組み、一家三人惨殺事件の謎に迫る。 二メートル近い身長、細く引き締まった身体。 頭…

沼田まほかるさんの「九月が永遠に続けば」を読む。

平穏な暮らしなどどこにもない。 一見、平穏に見える毎日にも落とし穴が潜んでおり、 その穴は黒く、暗く、永遠の底なし沼。何が真実か、 まやかしか。 それぞれが抱える事情も立ち位置が変われば、別の顔が見えてくる。 不穏で不可思議、陰惨な事柄が続き、…

内藤了さんの「鬼の蔵 よろず建物因縁帳」を読む。

その土蔵の土戸には、夥しい血で「鬼」という文字が大書されていた。怨霊の封印が解け、恐ろしくも切ない物語が明らかに…。広告代理店に勤める春菜と謎の曳き師、仙龍コンビが旧家蒼具家にまつわる因縁を断ち切る。 ワタシは怖がりである。 ホラー小説は、ど…

小路幸也さんの「花咲小路一丁目の刑事」を読む。

新米刑事の赤坂淳は、昔住んでいた花咲小路商店街に戻り、祖父母と同居することに。非番のたびに、ばあちゃんを介して事件とは言えないご近所のもめごと解決を頼まれる。心優しき人々が住む町のご近所ミステリー。 家でご飯を食べなくなった飼い猫の話、 死…

小路幸也さんの「ビタースイートワルツ」を読む。

舞台は2000年の北千住。前作から9年が過ぎ、ダイも39歳に。甘さばかりではなくほろ苦さもわかってくる年齢だ。若者は大人になり、大人は少々年を取ったが、「弓島珈琲」に流れる空気は変わらない。 「仲間」とか「友情」とか、この年になると、なかなか恥ず…

小路幸也さんの「コーヒー・ブルース」を読む。

舞台は1991年の北千住。喫茶店「弓島珈琲」に人が集う。誰しもが仲間になれそうな、温かな空気が流れる。事件は起こるのだが、読み終えた後の爽やかさは「東京バンドワゴン」につながるものがある。 主人公の弓島大(ダイ)は、「弓島珈琲」のマスター。祖父…

佐々木譲さんの「代官山コールドケース」を読む。

地道な捜査。事実を一つ一つ確かめ積み上げる。そうやって、犯人の後ろ姿を追う。未解決事件を扱う、二人だけの特命対策室。骨太で重厚な、ザ・警察小説だ。 正統派の警察小説である。 川崎で女性が強姦されたうえ扼殺されるという事件が発生する。 現場から…

内藤了さんの「ゴールデンブラッド」を読む。

どんな血液型の患者にも輸血可能な「ゴールデン・ブラッド」。これをもとに製薬会社と大学病院が人工血液を開発した。だが、輸血を受けた人が次々に変死する。この人工血液は「奇跡の血液」か「悪魔の血液」なのか。 マラソン会場での爆破、輸血用血液不足、…

大山淳子さんの「猫弁と指輪物語」を読む。

無類のお人好し、心優しき猫専門弁護士「猫弁」こと百瀬太郎が受けた依頼は、 鍵のかかった部屋で妊娠していた猫のお相手探し。 7歳の誕生日、施設に太郎を預け失踪した母の教えを守って、猫弁は今日も空を見上げる。 サスペンスやハードボイルドを立て続け…

大山誠一郎さんの「赤い博物館」を読む。

人とのコミュニケーションが苦手の<赤い博物館>館長と、本庁捜一を追い出された刑事が過去の捜査資料をもとに未解決事件を捜査。謎を解き明かし、真実をあぶりだす。でも、最大の謎は、館長、アナタです! 最初の出会いは、TVドラマ化されたものだった。さ…

柴田よしきさんの「フォーディア・ライフ」を読む。

表の顔は保育園の園長先生。だが、破綻しかかった園を支えるため、 探偵という裏稼業でヤバい仕事を請け負い、時には押し付けられ、 今夜も街を駆けずり回る。ひよっとしたら、 日本で一番忙しい探偵なのかもしれない。 ヤクザや殺人も絡んで、私立探偵が新…

大沢在昌さんの「新宿鮫 絆回廊」を読む。

これほど新宿という街が似合う男はいないだろう。一匹狼の新宿署刑事、鮫島。闇社会に生きる者はその存在を恐れ、彼を「新宿鮫」と呼ぶ。一刑事として街に巣食う悪と戦う彼がたどり着いた結末は、あまりにも切ない。 ワタシのハードボイルド、刑事モノの入門…

内藤了さんの「AID 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」を読む。

「進め、比奈ちゃん!アンタは刑事よ」。凄まじい悪意の残骸。命を冒瀆する猟奇犯罪者に、比奈子は母の形見の七味缶を握りしめ立ち向かう。その背中を守るのは、熱い心をたぎらせた仲間たちだ。 現在、ワタシのツボにガッツリはまったシリーズ作品である。 …

樋口有介さんの「枯葉色グッドバイ」を読む。

「アルバイトをしませんか?」。一家惨殺事件の捜査が行き詰まる中、所轄署刑事の吹石夕子はあるホームレスを日当二千円で助手に雇う。女刑事とホームレス、この異色コンビが憂鬱な捜査の中、真相に近づいていく。 羽田のマンションで家族三人が惨殺された事…

誉田哲也さんの「ドルチェ」を読む。

生きる者のために真相を追う刑事、魚住久江。事件が起きる前、事件を起こす前に人を救うことができたら。生者に寄り添うことにこだわり続ける女刑事がいる。 魚住久江シリーズの1作目で、表題作を含む6編が収録されている。 今は練馬署強行犯係に属する魚住…

東野圭吾さんの「祈りの幕が下りる時」を読む。

加賀恭一郎が日本橋に移ったのも、わけがあった。加賀が中学にあがる前、突然に姿を消した母親の謎がついに解き明かされる。作品全体から「切ない」が垣間見え、読み終わってから「ほう」とため息をついてしまった。 この作家さんの作品は、単発ものからシリ…

若竹七海さんの「静かな炎天」を読む。

人の悪意をモロかぶりし、悪態をつきながらも奮闘する葉村。アンタはエライよ。 大好物の葉村晶シリーズの5作目。 今回は登場人物のあまりの理不尽さに憤死寸前になった。 特に、最後の「聖夜プラス1十二月」の店主、富山をはじめとする面々の 葉村に対する…

宮部みゆきさんの「希望荘」を読む。

クズとまではいかない、悪意とまでも呼べない、どこか歪んだ心を持つ人々。 そうした人々には、思いやりや善意は届かない。ごく普通の人々の暮らしにそうした歪みが入り込んでくると、「普通」は「普通」でなくなる。 宮部みゆきさんの作品の中でも、5本の指…

中山七里さんの「ヒポクラテスの誓い」を読む。

一人の作家さんを好きになると、その作家さんのあらゆるシリーズを 読みたくなるのは普通のことだろう。 複数のシリーズをまたいで、一つのキャラがあちこちに 顔を出すと、それだけで興奮してしまう。 この作品でも、「連続殺人鬼 カエル男」や犬養刑事シリ…

内藤了さんの「LEAK 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」を読む。

面白い作品に出会うと、 早く結末にたどり着きたい思いと、 待って、この時間をもっと大事に、終わってしまうのが もったいないという思いの間でがんじがらめになる。 この猟奇犯罪班シリーズも、ワタシのツボに完全に はまった作品であります。 比奈子が、…